手足の指6本で生まれた赤ちゃん あなたならどうする?
千手観音は1000本も手があります。
阿修羅像は手が6本。
藥師寺吉祥天畫像は指が6本。
ありがたい、ありがたい。
でも、
人間のからだの一部が欠損していたり、多かったりする者に、
違和感や敬遠感を抱く事って本能的には普通なことかもしれません。
それでも自分の妻が妊娠し、出産が近づいたとき、
「五体満足であれば・・・」と思っていたけど、
「今はたとえ指があってもなくても、無事に生まれてくれればそれでいい・・・」
とあなたは思えますか?
ヨミドクター小児外科医である松永正訓という方のこんな記事がありました(長文ですが引用します)
関東地方の田舎で双子の赤ちゃんが生まれました。第1子は死産でした。
第2子は生きて生まれましたが、腹壁破裂という先天性の奇形がありました。
おへそのすぐ脇にあなが開いていて、そこからすべての小腸が体外に飛び出していたのです。
もちろん緊急手術が必要です。(中略)
手術は終了したのですが、私たちは赤ちゃんを人工呼吸器の付いた状態で病室に連れて帰りました。
対面した家族から小さな悲鳴、騒然、やがて沈黙・・・
家族控室には、赤ちゃんの父親と両家の祖父母が集まっていました。
私たちは赤ちゃんの様子を口頭で伝え、それから面会してもらうことにしました。
ただ、ちょっと心配がありました。
赤ちゃんの奇形はお腹だけではなかったのです。両手両足の指が6本ずつあったのです。
いえ、でもこうした奇形は形成外科の先生に手術してもらえばきれいになります。
「命には関係ありません」と家族に念を押しました。
家族に病室へ入ってもらいました。すると誰も赤ちゃんの顔やお腹を見ません。両手両足を入念に見ています。
深夜の病棟に小さな悲鳴のような声があがります。病室は騒然となり、やがて誰もが黙りこくってしまいました。
手術の後、私たちはねぎらいの言葉をもらったり感謝の言葉をかけられたりすることが多いのですが、
その時は気まずい雰囲気だけが部屋に充満し、家族はほとんど無言で帰宅の途につきました。
手術から2日たった日の午後、父親が小児外科の外来診察室に姿を現しました。
教授の診療が終わるのを待っていたのです。
父親は頭を深々と下げて、赤ちゃんを今すぐ人工呼吸器からはずして自宅に連れて帰りたいと言います。
教授は目を丸くして、「今、呼吸器から外したら赤ちゃんの命はない」と大きな声を上げました。
父親の答えはこうでした。
「赤ん坊を、上の子と同じ穴の中に埋めてやりたいんです」
教授と父親のやりとりをそばで見ていた私はびっくり仰天しました。
そして父親を廊下の隅へ連れ出して、
赤ちゃんの命は赤ちゃんのものであり、親が勝手なことをしてはいけないと懸命に説得しました。
父親は、
「先生には分からないよ。田舎でこういう子を育てるのが、どんなに大変なことなのか」
と悲しそうにうなだれて、廊下を去って行きました。
私は、母親が赤ちゃんに初めて面会する時までに何としても赤ちゃんの状態を良くしようと決意しました。
連日病棟に泊まり込んで徹夜の術後管理を続け、
術後6日目に呼吸器を外すことができました。そして7日目に母親が病棟にやって来ました。
赤ちゃん用のベッドの上で、手足をバタバタさせている我が子を見て、母親は顔を紅潮させました。
私は母親に赤ちゃんを抱っこさせました。
まだ酸素が必要だったので、私は酸素チューブを赤ちゃんの口元にあてがいました。
涙が一滴、赤ちゃんの頬に落ちました。
これが転機になりました。
家族は一人また一人と赤ちゃんを受け入れていきました。
もちろん父親もです。
私は障害を持って生まれた赤ちゃんを受け入れるのは、単純なことではないと思い知らされました・・・と。
やはり、
命に関わる腸のことよりも、見た目に関わる指に目がいってしまう。
障害児を育てる困難は、周囲の無理解が大きくしているのかもしれませんが、
多すぎる指は就学年齢前に手術してしまえばいいし、術後の見た目にそんな違和感は残らないし、
お腹の傷だってはだかにならなきゃわからないですよね。
だから、
その後の幼少期や成人後に見た目について偏見が残るだなんて心配する類のものじゃないように思いますよ。
なんでも、
多肢で生まれる割合は0.4%ほどらしいです。
平均寿命程度まで生きているとすると、
日本人では40万人、都民でも4万人はいることになります(少なく見積もる為1億人と1千万人で計算)
実際「指が6本」で産まれた方の体験談を聞くと、
・私の子どもも指が6本で産まれました。私自身の衝撃もかなりでしたが、父親は『グロい』の一言。
現在一人で育てています。
他の子よりたくさん握って産まれてきた。と思うようにしてます。
・私の甥も、六本の指で生まれてきました。口蓋裂もありました。精神障害もあります。
指と口蓋裂は手術で良くなりました。漢字の練習も頑張っています。会話も随分できるようになりました。
働く大人になりたいと言って、我が家や近所の農作業の手伝いを頑張っています。
マラソンが好きで、毎日10キロメートル以上走っています。彼の将来を思うと不安は尽きません。
しかし、一生懸命生きているその姿に、大切なことを教えられているように思います。
・うちの子は、薬指の第1関節が1本多く中指と薬指の第2関節の皮膚がくっついた多合指症で生まれました。
今は手術して取ってしまいましたが、見た目は少し曲がってるくらいで目立たないです。
グーがきちんとできないし、第2関節が曲がらないけど、生活に支障は無いです。
生まれた時は、子供に申し訳なく将来を悲観しましたが、
手術する病院に通うにつれてウチの子は軽症なのだと思い知らされました。
生まれた時は、本当に本当に不安しかなかったから、この母親の気持ちはとてもわかる。
どうか幸せに暮らして欲しい。
・私の子供もそうでした。
父親の方がちょっとショック受けてたけど、今は超子煩悩のパパになってくれました。
多指症は千人に一人ぐらい発生するので以外と多いけど、一歳になる前ぐらいに手術するのでほとんどわからない。
うちのこも幸い全く支障なくなりました。
年一回は検査いくぐらいかな。
・昔の友人の一人が多指症でした。片足の指が一本多いだけで、健康そのもの学年屈指の美人さんでした。
特に親しい人以外には言わないそうですが、あなたの人格を信じてという事で見せてくれました。
普段隠れているし、全くわからないのですが、ご本人はとても気にしておられるようでした。
生活に大きな支障が出るとかいうのなら、いろんな決断があっても良いかもしれませんが、
多指症ぐらいで親が生命を奪うのはどうかと思いますね。
社会は最初は驚いてもすぐに受け入れてくれるかもしれませんし、
・自分も右足の指が6本ある。だが、生んでくれた親には大変感謝してる。
手ではなく足なので目立たなかったというのもあるけど幼少期そのことで苦労した記憶は少ない。
全くないとは言えないけどね…
今でも親とこのことについて話すと「そういう体に産んでごめんね」
みたいなことを言われるが自分には感謝しかない。
私の場合、普段は意識してないけど靴を買うときに思い出すくらいかな。
・生まれつき指が4本の知人がいましたが、頭がとても良く、
立派に青山学院大学を卒業し、大手企業に就職されていますしみんなにすごく尊敬されています。
外見が多少人と変わろうと、知能などは一切問題なく、逆にそういう子ほど、努力して大成しますし、
今の時代都会の大手企業なら、実力があるなら採用してくれます。
幸せになるかは、産まれた段階では分からないものなんです。
色々言われていじめられた子ほど、強くなって大成する子が多いですし。
・小学生のころスイミングスクールで仲良かった友達に
「何で指が三本なの?」って何も考えずに聞いていたことを覚えてる。
ちゃんと答えは覚えてないんだけど、「病気だったんだ」って感じの答えだった気がする。
自分も「ふーん」くらいの反応だったように思う。その後も普通に仲良くしていた。
今から考えると絶対にできない会話だけど、
それは大人になって、余計な考えがいろいろ身に付いちゃったからかもしれない。
・私が子供のころ、指が6本あった友達がいましたが、
「今日手術するんだ」と言って、しばらく学校を休んだ後、指が5本になってました。
学校の先生がその子とのことを、私たちには「とても素晴らしいことだ」的な感じで話していたので、
私たちは6本ある子がうらやましいと思ってたぐらいです。
誰もが「おかしい」って思ってなかったのが不思議なぐらい。
手術で5本になったときの会話が今でも忘れられない。
「なんか勿体ないよねー。5本よりも6本のほうが多いからいいなって思ってたし。」というと、
手術した子が
「でも、5本になると手袋が普通にはめられるし。」というと、なんかそれが妙に納得した記憶があります。
大人がどういうかで、子供の行動は変わります。
・私の学生時代にもいた。
話を聞いたが、小さい頃は初めて会う子には少し指摘されたそうだがまわりはすぐ慣れちゃって何も言わなかったそうだ。
しかし左手を見て泣いた日もあったらしいが、彼は何をやるにも凄い努力家で誰もが彼に一目置いていた。
あの努力する力は彼の6本目の指が与えたんだと皆で言いあったものだ。
彼は今、50人の従業員を抱える社長になった。
と皆さんとても前向きですね。
なんでも指が6本あるの「天下取りの相」と言われているみたいで、
あの豊臣秀吉は「右手の親指が2本」あったそうですよ。
服部英雄氏(九州大学教授)の『河原ノ者・非人・秀吉』(山川出版社)に触れられています。
また指六本生まれてくると将来大成するといわれている国もあると聞きます。
有名な写真家ロバートキャパも生まれたときは6本あったとか。家族はみんな大喜びしていたそうですよ。
また多指症と呼ばれる6本指のインド人男性ビジェイ・シンさんが、仕事を求めて英国にやってきて、
毎分100以上の単語を入力できる「タイピングのプロ」なんだそうです。
自分の手の特性を生かし、タイピング技術を磨いてきたそうで、
両手合わせて12本の指は全て機能するんだそうですよ。
あとハリウッド女優にも何人かいます。
名前思い出せませんが今60くらいの女優が堂々とインタビューで、授かりものだから取りませんって答えていたとか、
エミー賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー主演女優賞受賞、
ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した超有名女優さんもそうらしいです。
そして大リーグのセーブ王・アントニオ・アルフォンセカが6本指であることは、
野球ファンならばみんな知っていますね。
そういえば、
相当前に多指症の家族をテレビで見たことがあります。
全員手の指が6本あって、家族みんな「ワープロが打ちやすくていい」って言ってました。
考え方が違うだけでこう受け取れるものだと感心したことがあります。
いずれにしても、
障碍・健常、異常・普通・・・これらの区別は人間の脳みその中にしかありません。
例え三つ目だろうが周りの人間が、
目一つ多い人なんだだけで済ませれば差別に苦しむことは無くなります。
本人がどうのじゃなくて周りの人間が全ての原因かもしれませんよ。
人間誰しも「何かしらの障害」を持っているとも知らずにですね。
神様がくれた6本目の指。
手袋があわないとか、箸や鉛筆がもちにくいとか、多少の不便はあるかもしれないが、工夫しだいで何とでもなります。
そして「子供の命は親のものじゃない」ですね。