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医療死亡事故「手術」最多 病院の肩書に圧倒されて何も言えない?

患者の意識の持ちようで、防げる事故もたくさんありますが、
手術ミスのように密室で起こる事故など、
患者レベルでは防ぎきれないものがあるのも事実なんですね。

 

先日「なぜ心臓の手術で脳に障害が残るのか?」とニュースに出ていましたが、
慶応義塾大学病院で心臓手術をした5歳の女の子の脳に重度の障害が残った問題で、
ご両親が同病院を相手取り約2億円の損害賠償を求める訴訟を起こしましたね。

 

人間がやることに百パーセントは無いと思いますが、
両親の苦渋の選択はよくわかります。

 

氷山の一角かもしれませんが、
医療事故調査制度で、
今年3月までの半年間に報告を受けた死亡事故187件のうち、
3件に1件が手術に起因する事故だったみたいですね。

 

この報告書によると、
死亡につながった原因と考えられる医療が「手術」だった例が64件と最多で、

次いで帝王切開を含む分娩が20件、
カテーテル挿入、交換などの処置が19件、
輸血や投薬、注射が17件だったそうで、

 

手術に起因する64件の内訳は、
腹腔鏡によるものが13件と最も多かったようで、

 

診療科別では、
内科と外科がそれぞれ29件で最多で次いで整形外科20件だったそうです。

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最近の例を挙げると、

 

・交通事故で右足骨折をしただけで手術後死亡してしまった。

28歳の男性で友人の運転する原付バイクの後部座席に乗って帰る途中、
バイクが転倒してけがをし、
救急車で病院に運ばれ「右腓骨骨折、右足関節脱臼骨折」と診断されたそうで、

 

手術を受け歩行訓練を始めたところ、
胸苦しさを訴え、時には激しい胸苦もあったが、
内科医は心疾患を疑う程度で簡単な診察しかしていなかったんです。

 

トイレに男性がが行ったまま帰ってこないので看護婦が様子を見に行ったところ、
チアノーゼ状態(動脈血酸素不足による手、顔面などの蒼白状態)で倒れており、
応急手当もかいなく意識消失、呼吸停止で死亡したんですね。

 

交通事故による死亡として死亡保険金を保険会社に請求したところ、
保険会社は死亡は交通事故と因果関係がないとして支払を拒絶し、
入院期間中の治療費だけ支払ったそうで、

 

確かに交通事故による骨折では死に致るものではなかったんですが、
なぜ死亡にまで至ったのか。
これが最大の問題であったんですね。

 

他の整形外科医にカルテを見せたところ、
死亡原因は「肺梗塞」に間違いないと断定したんですね。

 

肺梗塞とは、
血液中に血栓子ができたり脂肪組織が流出したりすると、
それがある時一時に肺に流れ込んで肺の毛細血管を全部塞いでしまって、
窒息と同じように死亡してしまうもので、

 

これは近年増えている死亡原因で、
骨折で入院した患者が手術後これが原因で死亡する例も多く、
この男性ももその症状を呈しているとのことであったんですね。

 

肺梗塞は心肺の各種検査の総合として診断され、
事前にわかれば有効な治療で問題なく快復するんですが、
医者は真の死亡原因を知って隠していたのかもしれません。

 

その他にも、

・2014年2月…千葉県、千葉県がんセンター。

同センターで、同じ男性医師が腹腔鏡手術を行った癌患者のうち、
3人が術後しばらくして死亡していたことが明らかになった。

 

・2013年4月…神奈川県、横浜市立大学附属病院。

同病院に前年の2012年8月から心不全や腎不全で入院していた女性患者に対し
病院側はチューブを鼻から挿入することで患者の腸に栄養液を注入していたが、
これが詰まったため、
翌2013年4月7日になって濃度25%の酢酸を注入した。
ところが、
患者はこの影響で壊死を伴う腸炎を併発し、24日になって死亡した。

 

・2013年6月…兵庫県兵庫県立こども病院。

心臓疾患で同病院に入院していた生後1か月の女児が、28日に発熱を起こしたため、
抗生物質『パンコマイシン』の点滴による投与を行ったが、
点滴開始から約1時間40分後に詰まって入らなくなり、
その後、
右足指3本が壊死していることが確認された。

この女児は8月になって、
壊死した指を切除した。規定より10倍近い濃度で投与したため、血管が詰まったことが原因とされる。

 

・2013年6月…熊本県熊本大学医学部附属病院。

同病院では、60歳代の女性と80歳代の男性が、
肺癌の疑いがあるとして肺の組織の一部を採取し、男性の側に肺癌が発見された。
ところがその後2人の検体が入れ替わってしまい、
癌の発見されなかった女性の側が、
8月に肺の下部の約3分の1を切除する手術を受けた。
女性はその後退院したが、呼吸機能が低下しており、経過観察中である。

 

・2013年11月…兵庫県兵庫県立淡路医療センター。

同センターに心不全で入院していた当時77歳の男性患者について、
容体が悪化し心電図に異常が生じたことを知らせるアラームが鳴動したが、
看護師らはこれに約72分に亘り気付かず、患者はその後死亡した。
病院側が、アラーム音を小さくしていたことも明らかになっている。

 

・2013年12月…東京都、国立成育医療研究センター病院。

同病院に神経芽腫(小児癌の一種)で入院中の1歳の男児に、
同月18日に本人から採取した末梢血幹細胞を移植予定だったが、
主治医が間違えて、
男児の隣室に同じ病気で入院していた4歳の女児に移植していたことが明らかになった。
2人には健康被害などは出ていないとしている。

 

・2014年4月…東京都、国立国際医療研究センター

脊椎疾患で18日に検査入院していた当時78歳の女性に対し、
整形外科の女性医師が造影検査を実施した際、
脊髄への使用を禁止されている造影剤「ウログラフイン」を誤って脊髄に注入。
患者はこの時のショックで、多臓器不全にかかり死亡した。

 

ほんの一部ですが、
医療死亡事故はこんなにたくさん遭っているんですよ。

 

それも有名で大きな病院でですね。
やはり患者の立場では病院の肩書に圧倒されて何も言えないのが現状なのかもしれませんが・・・。

   

もしあなたも身内が病院での対処を不審に思われたら、
こんなところを参考にされたらと思います。

 

医療消費者ネットワーク MECON http://www.geocities.jp/meconett/main/link.htm

「医療事故かな?」と思ったら・・・市民団体の相談窓口

 

医療事故弁護士法律相談センター https://www.avance-lpc.com/

医療事件は弁護士が取り扱う分野の中でも最も専門性の高い分野ですので、
たとえ経験豊富な弁護士でも、1名の弁護士が単独でその処理にあたるのには困難があります。
そのため当センターでは、
1つの医療事件に対して複数の弁護士が共同で事件処理にあたります。

 

また公共機関では各都道府県に医療安全支援センター医療安全相談窓口みたいなのがあると思います。
たとえば熊本県だったら、

 

熊本県健康福祉部 医療政策課 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_5954.html

熊本県医療安全支援センター医療安全相談窓口で、
医療に関する心配事やさまざまな相談に対応するとともに、中立的な立場から助言や情報提供などを行って、
相談内容について秘密は守るそうです。

 

それから、
全日本民主医療機関連合会」という日本の医療機関で構成する社会運動団体があるんですが、

実際に発生した医療事故や事件については、
絶対に繰り返さないという決意のもと、次の立場で望んでいるそうです。
 

(1)なによりも患者さんの人権を尊重し、患者さんやご家族に真実を告げること

(2)原因究明にあたっては「だれが起こしたか」だけでなく「なぜ起きたのか」の立場から、
  その背景となる「人」、「技術や器械」、「情報やシステム」、「管理運営」にかかわる問題を多角的に分析し、
 
(3) 再発防止にむけ何重もの安全防御機構をつくりあげること

(4) そして情報を公開し、経験や教訓を広げる、

というものです。

 

また患者側の立場からは、

最大の予防策は「自衛」ではないかと思います。

 

その第一歩として、
自分の病気について詳しく知ることが大切だと思います。

 

まずは病名と症状、どんな治療を行うのかを徹底的に医者から説明してもらう
インフォームド・コンセント”をキッチリ行って、
そして自分のノートを作って、注射する薬の名前とその量など、細かい情報を随時書き込んでいく。

 

主治医の指示に納得がいかない場合は、
他の病院へ行き、別の医師に診察してもらう(セカンド・オピニオン)。

 

それと、
医者に殺されない5か条というのもあるんですよ。

 

1. いらない医療を受けない。

2. 検診を受けない。

3. おかしいなと直感したら病院を変える。

4. 雑誌の「名医」を信用しない。

5. 自分で調べて考える。

 

いずれにしろ、

患者が死亡するなど重大な医療事故の報告を大学病院などに義務づける制度があるんですが、

報告しても行政処分などには使われないし、公開時も病院名などは公表しないんですね。

 


もし今度医療死亡事故が起こったら、
 
業務停止や免許取り消しの処分対象に早くしてもらいたいものです。

 


でも失った命は戻ってきませんが・・・。