美ビルド・ネットの熊本はてな?

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「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)現実的に必要な施設だった?

赤ちゃんポストを最初に提案した人の発想力、周りを納得させて実現させた実行力には脱帽します。
最初にこれが始まった時は衝撃的だったし、

 

今も

「子捨てを助長し、捨てられる子が増える可能性がある」

「なぜ中絶をしない?育てられないならなぜ子どもを作る?」

「ほかの手段で支援すべきではないか」

「捨てられた子の将来が心配。里親に育てられても幸せとは限らない」

と反対意見も多いんですが、

 

でもここまで継続してきてたくさんの命を救ってるんだから凄いと思います。

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というのは、
親が育てられない赤ちゃんを匿名でも預かる日本で唯一の施設(こうのとりのゆりかご)が
2007年5月の運用開始から10年を迎えたんです。

 

我が郷土熊本市カトリック系医療施設である「慈恵病院」が、
「捨てられる命を救う」との理念で設置され、
この10年で預けられた赤ちゃんは公表されている16年3月末までで125人に上るそうで、

 

熊本市の検証報告書による内訳では、

生後1ヵ月未満の新生児104人。

1年未満の新生児14人。

1年以上の幼児7人。

 

父母らの居住地は、
九州が39人で最多なんですが、
北海道や東北、関東など全国に及び、国外1人、不明29人だそうです。

 

また預けた理由(複数回答)は、

「生活困窮」32件

「未婚」27件

「世間体・戸籍」24件

 

最近の預け入れは年10人程度で推移し、
病院での手当てが必要な赤ちゃんも少なくないそうです。

 

モラルの問題とかの批判もありますが、
まず「真っ先に赤ちゃんの命考えよう」。
親ベースではなくて赤ちゃんベースで考える。

 

コンディションのわからない赤ちゃんのために昼夜救命体制で、
病院経営からいえば、はっきり言って赤字だと思いますが、

それでも続ける意味があるから継続しているし、
赤ちゃんの命を優先して実際に救っている事実は揺るぎませんね。

 

ただ、
慈恵病院のこの活動を伝えるのに「赤ちゃんポスト」に預けられた数だけ問題にするべきではないと思いますよ。

 

預ける以前に、
電話による24時間対応の妊娠相談窓口(http://ninshin-sos.jp/)に寄せられる相談件数は、

16年度、過去最多の6565件もあったそうで、(単純計算で毎日16件以上もある)
これに慈恵病院は無償で対応していますし、

場合によっては、
担当者が面談を院外で行う場合もあるんです。

 

これは行政が片手間で手掛けている電話相談の数十から数百の件数。
このセーフティがあってなお125件の預けがあったことの深刻さと、
慈恵病院の「赤ちゃんポスト」に対する真摯な取り組みをまず把握しなければいけないと思います。

   

2015年にNHKの「クローズアップ現代」という番組で“ポスト”に託された命 ~赤ちゃん100人のその後~
というのがあって、

 

8年前、赤ちゃんポストに預けられた男の子が今は小学生になり、里親のもとで幸せに育っているそうです。
その男の子は、

 

こうのとりのゆりかごに入れてくれたから、今ここで生活している。
もし違うところに行っていたら、今のお父さんとお母さんにも会えなかった。
そういう意味では、ちゃんと入れてくれてよかった。」と。

 

これは今が恐らく、幸せに過ごせている生活が、
しっかりちゃんと愛されて自分が暮らせているっていうのがあるので、

こうのとりのゆりかごに入れられるっていうのはとんでもない体験なわけですけれども、
それをよかったと意味づけできているんだと思います。

 

また男の子は、
生みの親とつながるものをずっと大切に持っているそうで、
それはポストに一緒に置かれていた「靴や着替え」だそうです。

 

ここで当初から懸念されていた「出目を知る権利」が出てくるんですが、
これを保障する手だても進展も今は無いそうです。

 

慈恵病院は「出目より命が優先」として、
匿名での受け入れを続けるみたいですが、

出目を知る権利は日本も批准する子どもの権利条約に盛り込まれ、
アイデンティティーの確立に必要」との考え方があるらしく、

国や熊本市も交え、ドイツの「内密出産制度」を参考にして、
母親の匿名性を守りながら、
子どもが出目を知ることができる仕組みを考えるのが課題みたいです。

 

ところで、
もしこの「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)がなかったらどうなるんでしょうね。

 

児童虐待の件数は年々増加しており、
2016年8月に厚生労働省が発表した平成27年度の児童相談所での児童虐待相談対応件数は速報値で10万件を突破し、
過去最多となっているんですね。

 

また自宅分娩が多いとか、赤ちゃんの年齢であるとか、そういった状況を見ると、
これは虐待死亡事例の親の特徴や死んだ子どもの特徴と結構一致するそうで、
これは単なる虐待よりも深刻なのかもしれないと言われているんです。

 

このような状況においてもなお、
実親が育てるべき・・・とはとても言えないでしょうし、

せっかく産まれてきた我が子を、産んですぐ遺棄したり虐待したりして殺してしまう位なら、
赤ちゃんポストに預けて施設に入れるなり里子に出す方がまだましですよね。

 

だから慈恵病院は、
「妊娠・出産を知られたくない人に、安心して赤ちゃんを預けてもらいたいと思って始めた。
赤ちゃんの命を守るという点で役目を果たせた」
と開設の意義を強調するんです。

 

そういえば、
大阪市NPO法人「全国おやこ福祉支援センター」の「インターネット赤ちゃんポスト」があるらしく、
「産んでくれたら最大200万円援助します」という一文は話題になりましたね。

 

なんでも赤ちゃんを育てられない親と、
養親希望者とのマッチングをネット上で呼びかけているそうで、

養親希望者は年齢、職業、年収、貯蓄などの基本情報をメールや電話で事業者に伝え、
3000円の登録料を支払うだけで登録が完了し、
生みの親はそれらの情報をもとに、子供を託す相手を選ぶだけの簡易的なシステムみたいです。

 

これで妊娠で困ってる女性たちを助けて、
そこから生まれてくる子どもたちを大事にすることができるならいいんでしょけど・・・。

 

それから、
「出産は産むということではなく育てるということ」

「育てることが親」であるということを、

子供たちに家や小学生の高学年頃から授業の中で伝えていく必要がありますね。

 

そうすれば、
セックス=結婚=子供は授かり物という考えになるかも。

今の親が、
セックス=快楽という思考が多いから、そういう親に育てられた子供は同じ思考になるかもですね。

 

最後に、
こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)開設の際、

第1次政権当時の安倍晋三首相は、
「大変抵抗を感じる」と述べているんです。

 

これ以降も国は「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)に距離を置いているんですが、
赤ちゃんは全国から預けられており、
慈恵病院や熊本市だけの対応には限界があります。

 

国は「赤ちゃんポスト」が突きつけている現実や課題に正面から向き合い、

解決に向けて汗をかくべきでは・・・。