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岸部一徳 正体不明でいたほうがいい?

半世紀ほど前に一世を風靡したバンド「ザ・タイガース」でベースを弾いていた
「サリー」ってご存知ですか?

 

タイガースでも、1番手は沢田研二で、サリーは2番手以下だったんですが、
そのサリーが今や芸能界最高の脇役と言われる70歳に近い岸部一徳(きしべいっとく)その人なんです。

 

私が岸部一徳のファンになったのは、
あの「相棒」のドラマでの小野田官房長役。

 

・社会的地位が高くて

・悪だくみをしていて

・怪しくて

・腹の内を見せなくて

・食えない男

っていう役柄の演技が、これほど似合う人はいないのでは・・・と。

 

怪しい悪だくみに長けた腹のうち割らない人を、
演じたら岸部一徳の右に出る人はいないのでは。

 

この「相棒」の劇場版公開の時、ちょっとした話題があったんですね。
それはポスターに脇役のはずなのに、
水谷豊岸部一徳の2ショットポスターで、

 

なんでも脇役で岸部一徳演じる小野田と、
水谷豊が演じる杉下は「特命係」ができる発端となった人物の設定で、
だから脇役の岸部一徳との二人のポスターになったそうですよ。

 

ただ「劇場版 II」のラストで刺殺されてしまいましたが、
主要登場人物を殺してしまい、

マンネリを防ぐというのはアメリカドラマでも良くある手法ですが、
殺す人物を間違えると一気にドラマの持つ力が減衰してしまうんですね。

 

「相棒」の場合はまさにその罠にはまってしまったように思うんです。
岸部一徳のような役者は、
いなくなってからその存在感の大きさに気付くタイプの役者で、

 

「相棒」は岸部一徳がいなくなった事で、
彼の醸し出す存在感を失い、ドラマを豊かにする重要な味わいの一つを無くしてしまったんですね。

 

ちなみに、
私は最近の「相棒」は全然観ていません(やはり岸部一徳の影響?)

 

また、
ドラマの世界に名脇役と呼ばれる人は他にもいるが、
米倉涼子主演の「ドクターX」でのオカマ役。

 

年配者でオカマ役の脇役ができるのは、
岸部一徳を含めてそれほどいないのでは・・・。

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岸部一徳は脇役として、
決して主役を食わない出過ぎた真似をしないので主役にとっては、
「自分の座を奪われることはない」という安心を感じられる存在でもあるんですね。

 

そして、
岸部一徳は演技はいちいち極端で一本調子。
セリフも棒読みで大根役者と思われることもありますが、

 

しかし何とも言えない存在感があり、
不思議な役者でもあるんですね。

 

役者には、
役柄に自分を近づけていくタイプと、
役柄を自分に引き寄せるタイプ
の2種類があるそうで、

 

岸部一徳は間違いなく後者で、
役柄を自分に引き寄せるのタイプは評価されづらいんですが、
岸部一徳レベルになると錚々たる映画監督達からも高い評価を受けているそうですよ。

 

またある俳優がラジオで、
「役者にとって一番大事なものは?」という質問に対して、
「声」と答えていたんですね。

 

理由は忘れましたが、
ラジオだったからリップサービスでそう答えたのかもしれないですが、

 

岸部一徳のあの野太く魅力的な声の持ち主もめったにいないですね。
下手なセリフ回しも、
岸部一徳の声の良さに隠れ、心地よく聞いていられます。

 

そういう意味では、
確かにあの俳優の答えは正しかったのかも。

 

それと、
いつだったか北野武が「日本には怖い顔した俳優が全然いない」と。

しいてあげれば「岸部一徳くらい」 と。

 

でも岸部一徳の場合は、
見るからに怖いって言う威圧するタイプの顔じゃなくて気味の悪い怖さがみたいだが・・・。
(こっちの方が本当は怖い?)

 

温厚でミステリアスな岸部一徳

背が高く、声が野太く、貫禄があり、相手を飲みこんでしまう包容力があり、
岸部一徳が演じることによって、
その役のキャラクターをひとつに限定しない、懐の深さを出せる役者。

 

この岸部一徳は、
作品ごとに全然違う一面を見せてくれるので、

 

まだいろんな「色」が隠されている、

と思わせてくれるから、
 
正体不明でいたほうがいいかもしれませんね。

 

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