汗をかいてデトックス(毒素排出)はウソなの?
よくデトックス(毒素排出)するためには大量に汗をかくことが大事だと言われていますね。
汗をかくことで体の中に蓄積されていた老廃物や有害物質などの毒素を排出し、
血中の不要物がなくなることにより、体内の血液循環も良くなる・・・と。
そして発汗は、
今や健康や美容のトレンドになっていますよね。
遠赤外線サウナからホットヨガまで、
タオルが汗でびっしょりになるアクティビティはリラクゼーション効果があるだけでなく、
体の毒素を排出して健康を保つ、なんて言われているんですが、
汗をかいて毒素を排出するという説は、
汗をかいて弾丸を搾り出すというのと同じくらいありえない話であることが、
最新の研究で明らかになったんですね。
汗と一緒に毒素も排出されるというのは、都市伝説に過ぎなかったみたいですよ。
人間が汗をかくのは体温を下げるためであって、老廃物や有毒物質を排出するためでは無く、
その役目を負うのは、腎臓と肝臓みたいですよ。
汗の成分の大部分は水とミネラルなんですが、
さまざまな種類の有毒物質も含まれているんです。
ただし、学術誌「Environment International」に掲載された研究報告によれば、
その量はごくわずかだというんですね。
ほとんどの汚染物質に関しては、その量はあまりにわずかで、あってもなくても変わらないと。
これらの物質は「残留性有機汚染物質」と呼ばれ、
農薬、難燃剤、
そして現在は禁止されているもののまだ環境中に残っているポリ塩化ビフェニル(PCB)などがあります。
食品や環境中に存在する「毒」と一般に考えられているんですが、
脂肪に引き寄せられる性質があるため、大部分が水でできている汗には溶けにくいそうですよ。
あなたが1日45分間の激しい運動を行ったとしても、
1日の発汗量はせいぜい2リットルほどで、
これには、運動していない平常時の発汗も含まれます。
そして、
それだけの汗をかいても汚染物質は0.1ナノグラム以下しか含まれていないんだって。
言い換えると、
普段の食生活で体内に取り込む汚染物質のうち、汗で出る量は0.02%に過ぎないそうで、
さらに運動を激しくしたとしても、0.04%程度までしか増えないそうですよ。
つまり、どんなに大量の汗をかいたとしても、
その日体内に摂取した汚染物質の1%すら排出できないということなんですね。
ただし、
ほとんどの人間の体内にある農薬やその他の汚染物質の量自体、
極めて微量であるということも覚えておいたほうが良いですよ。
最近では1兆分の1単位で物質を検出できるようになっているんですが、
だからといってそのわずかな物質がすぐさま有害であるとか、
減らせば健康に良いといった話にはならないみたいですね。
ついでに書いておくと、
デトックスの「de」は英語の接頭語で「分離」を意味する接頭語、「tox」は毒を意味し、
「体内に溜まった毒素や老廃物を排出する」ことを指しているようです。
半身浴、岩盤浴、海藻などを食べる、断食、よもぎ蒸し、塩水浣腸、油うがい、リンパマッサージなど、
ありとあらゆる方法が「デトックス効果あり」と主張し、
ダイエット効果などをうたうケースもあるようですが、
今回お知らせしたように、
汗腺には都合よく悪いものだけを排出する機能などありませんから、
足の裏から毒素が出ると称した商品などは、完全なウソと断定できますよ。
イギリスの国民保健サービスは、
「デトックスという言葉には何の科学的根拠もなく、そのような製品を購入する必要はない」と、
バッサリ斬って捨てていますからね。
それでも健康なあなたが、
どうしてもデトックス(毒素排出)をしたいと思うなら、
「普段からミネラル成分を意識した糖尿病対策の食事が有効」
これをヒントに覚えて置いて頂ければ幸いです。