「配偶者控除」本当に税金を安くしてくれる控除なの?
「控除」とはあなたもご存じの「差し引く」という意味ですね。
お金を稼ぐには、ゼロからは生み出せませんよね。
小説家であっても、ペンと紙を買う必要がありますし、
出版社に打ち合わせに行くためには交通費が必要で、郵送するには切手代がいりますね。
同じように、
家族を養ったり、保険料を支払ったりするのも、その人が稼ぐための「経費」として考えられます。
生活費などにお金を払わないと、ちゃんと働いてお金をもらえないからですね。
稼いだお金の総額(額面上の収入金額=総収入)から、
税金の額を計算する元となる金額(課税標準)を算定する際に、
その稼ぎを生み出すためにかかった経費を補うため差し引かれるのが「所得控除」なんですが、
所得控除にはさまざまな項目があるんです。
たとえば配偶者控除。
平成30年から、配偶者控除および配偶者特別控除の控除額が改正されましたね。
扶養配偶者の所得の上限を引き上げて、
もっと働けるのに103万円の壁を意識して働きを調整していた女性たちに、
どんどん働いてもらおうというのが狙いなんですが、
これって結局お得なんでしょうか?
普通の会社員の夫とその妻の場合で、
夫の合計所得額が900万円以下で妻の所得が85万円(給与150万円)以下であれば、
源泉控除対象配偶者(扶養配偶者)として夫の所得から38万円の控除ができます。
夫の合計所得が900万円超になると妻を扶養とはできませんが、
妻の所得に応じて控除ができるんですが、
夫の合計所得が1000万円を超える場合、
妻の所得がゼロでも配偶者控除が受けられません(配偶者が障がい者の場合を除く)。
夫の合計所得が900万円の場合、
妻の所得が85万円まで扶養配偶者とすることができるのですが、
反対に1000万円の家庭の場合、
今までできていた扶養配偶者控除の38万円が今年から控除できなくなるため、
所得税だけで12万円ほどの増税になるみたいですよ。
では、
配偶者がパートで働く場合、本当に「103万円の壁」はなくなるんでしょうかね?
この103万円というのは、
給与所得控除の65万円と基礎控除の38万円を足した数字ですね。
年収が103万円以下なら課税対象となる所得がゼロになるため、
所得税がかからないという仕組みなんです。
今回の配偶者控除の改正で、
150万までなら配偶者特別控除38万円の適用で「103万円の壁」はなくなりましたが、
配偶者本人に所得税はかかるみたいですよ。
それでも「控除の対象外になってしまうかも・・・」なんて心配して、
パートで働く日数を調整していた人も基準となる具体的な金額が分かったことでシフトが組みやすくなるかも。
それでは、
配偶者がパートで150万円を上限に働いた分だけ手取りは増えるんでしょうか?
これは収入が106万円以上になると、
社会保険の適用になる場合があるんです(就労先の企業規模、就労時間、雇用期間の見込みなどによる)
社会保険に加入できるというメリットはあるんですが、
社会保険料の負担が発生し、働いた分だけ手取りが増えない場合がありますから注意が必要ですよ。
これって、思い切ってしっかり稼ぐのか、
それとも、手取り額が一番多くなるように仕事量を調整するのか、
あなたのライフスタイルしだいかもですね。
また、
配偶者が自営業や個人事業主でも配偶者控除か配偶者特別控除の対象になるんでしょうか?
配偶者が自営業や個人事業主の場合は、
所得が38万円以下であれば配偶者控除38万円。
38万円超123万円以下であれば、
配偶者特別控除の対象(所得85万円以下なら控除額38万円)となるんです。
これは所得123万円以下は配偶者特別控除に対象になるなら、
単純計算で月に約10万円までの所得は得られますから、
仕事の量を制限しすぎることなく働けそうですよ。
また、
収入が少ない自営業とパートの掛け持ちの場合って配偶者控除か配偶者特別控除は受けられるんでしょうかね?
これは給与所得と事業所得(個人事業主としての収入)の合計金額が、
38万円以下であれば配偶者控除、
38万円超123万円以下であれば、
配偶者特別控除になるんです。
あなたが子育てをしながら、個人事業とパートをやっているなら、
どのような働き方が理想なのか考えるいい機会かも。
こんな感じで、
「103万円の壁」が150万円に仕事の幅を広げるチャンスみたいに言っているんですが、
そもそもパートで150万円以上稼ぐのは簡単ではありませんよ。
年間150万円所得があっても
世帯所得から考えると単に働き損になるかも。
年間160万以上の収入がないと結局、世帯所得はプラスにはならないように感じますが・・・。
いずれにしろ、
国が本当にお金に困っているのであれば、
政治家の数を減らすなり、公務員の給料を少し減らせばいいのでは。
国民の血税を踏んだ来るのは、やれるだけの努力をしてからの最終手段としてほしいですね。