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「待機老人」と「待機児童」どっちが深刻なの?

厚労省の2015年4月発表の「待機児童」は2万3,167人で、
2016年はさらに増えるそうですが、

 

「待機老人」は同じく厚労省の2015年3月発表で約52万人にのぼるそうで、
潜在的には数百万人の「待機老人」がいるともいわれているんです。

 

厚労省のいう52万人は、
「申し込みをしたのに入居できなかった人」の数で、

問合せだけして諦めた人や、
最初から入居は無理と諦めた人は数字に含まれていないんですよ。

 

待機児童に比べてはるかに多い数字ですよね。

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あなたも「待機児童」はよく聞くけど、
あまり聞きなれないこの「待機老人」とは何かというと、

 

比較的少ない負担(月7万円ほど)で長期利用が可能な「特別養護老人ホーム」(特養)は、
社会福祉法人地方自治体などが運営する公的な介護施設なんです。

そして多額の公的補助が投入されるため、
施設も充実しているんですね。

 

ただ、
そうした特養に入りたくても入れないのが「待機老人」というんです。

 

そもそも日本の介護制度は、
在宅介護を基本としており、
それが実施できない人だけが介護施設に入るという仕組みになっているんですね。

 

世の中には様々な介護施設がありますが、
寝たきりの状態となり、最終的な寿命をまっとうする段階までケアしてもらえる施設は、
事実上、特養しか無いんです。

 

でも特養の数は極めて少なく、
しかも入所には厳しい条件が設定されているんです。

 

最新の基準では、(2015年4月から)
要介護3以上の認定が必要となりますが、

 

要介護3ということになると、
立ち上がることや歩くことなど、身の回りのことができない状態であり、
排泄、食事、入浴など、すべてにおいて介助が必要なレベルなんです。

 

つまり、
家族が介護することが現実的に難しいというレベルにならないと、
原則として特養には入れないわけなんです。

 

でも要介護度だけで計れないこともあるんです。

たとえば、
認知症を患っている方の場合で、
要介護度が低くて(要介護度2)自分で動き回れる人の方が徘徊リスクなどはあるんです。
在宅でケアするには家族の負担が大きくなるんですよ。

 

特養に入れるまでは、
ヘルパーなどの支援があるとはいえ、
基本的に家族が介護するということになりますから、片手間ではとても対応できませんよね。

遠隔地などに住んでいる場合は、
ほぼ不可能と考えてよいでしょうね。

 

結果として介護のために離職することが大前提ということになってしまうんです。
これが介護離職の現実であり、
日本では年間約10万人が家族の介護を理由に離職しているといわれているんです。

 

この数は、
高齢化が進展しているのでさらに増えることになるでしょうし、

また、一度離職してしまうと、
日本の場合、同じ条件での再就職は極めて難しくなりますから、
介護が終わった後のことも考えなければなりませんよね。

   

もう一つ根深い問題もあるんです。

 

「待機児童」の場合は、
お金があるかないかはあまり左右されないみたいですが、

 

「待機老人」の場合は、
まとまった貯蓄や十分な年金収入があれば、
特養の順番待ちをせずとも、民間の有料老人ホームに入る選択肢が出てくるんですが、

 

「持たざる者」はどうなるかというと、

老健と呼ばれる介護老人保健施設で、
医療ケアやリハビリを受ける事を目的とした介護施設なんですが、
この老健を渡り歩くパターンがあるみたいなんです。

 

老健に入るには、
医師の「この患者は入院治療よりリハビリが必要」
といった判断が必要なんですが、

逆にいうと、
医師がその旨を判断すれば何度も入所できるんですね。

 

老健で3ヵ月が経過したらB病院にちょっとだけ入院し、
そこで医師に別のC老健を紹介してもらい、そこに入所する。
といったやり方なんです。

 

それと同じ経営母体が病院と老健の両方を経営している場合は、
効率よく売り上げを立てるために、
あえて高齢者を病院と老健で行ったり来たりさせるケースもあるんです。

 

こういう行先に困った高齢者をたらい回しにする実態もあるみたいですよ。

 

比較的費用負担の軽い老健を行き来しながら、
特養の空きを待つしかないという人がそれだけ多いんでしょうね。

 

そうした高齢者の受け皿になっているのが「認知症高齢者グループ」なんです。
認知症を患う高齢者専門の施設で、

ワンユニット最大9人の入居者が介護スタッフとともに共同生活を送り、
認知症の進行を抑える目的もあって、
居住者はサポートを受けながら自分たちで家事なども行うそうです。

 

このグループホームは月15万ほどで入れるので、
有料老人ホームより少し割安みたいですが、

この「月15万円」が用意できなければ、
そもそもそこに入ることはできないんですよ。

 

年金支給額は、
国民年金が平均月額で約5万4000円、
厚生年金は約14万8000円、

 

行き場を失う待機老人になるかのボーダーラインは、
月額15万円~20万を捻出できるかどうかなんですね。

 

あなたも歳を重ね、死が迫るほど、
介護ケアはどうしても必要になりますよね。

 

「幸せに死ぬ」ためには、
必要最低限のケアが絶対条件ですね。

でもお金がなければ安心して死ねる環境は得られません。

 

ここまで読んで、

あなたは「待機老人」と「待機児童」どっちが深刻と思われますか?