美ビルド・ネットの熊本はてな?

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「摂食えん下障害」おいしく食べらることへの感謝

毎日あなたも私も何気なく食べ物を「おいしく食べて」いますが、

 

高齢者、神経性の難病、脳卒中、「繰り返す」肺炎や誤嚥(ごえん:気管に食べ物が入ること)により、
咀嚼機能や嚥下機能が低下して起こる摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)になり、

 

何も食べたくない、

食べることができ無い、

食べることを諦めた、

人が増えつつあるんですね。

 

これからの高齢化社会の宿命かも知れませんが、
こうした障害のある人の食べる機能を評価し、
段階的に食事を摂る訓練を行っていく「摂食えん下リハビリテーション」という分野があるんですね。

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口から食べられる可能性があり、食べたいという希望を持っていても、
「胃ろう」といって、
「おなかに小さな口」を造る手術をして、
そこから栄養を取る方法を選択する医療関係者が多いのですが、

 

5月16日(月)にNHKで放送の『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出た、
看護師歴36年で日本摂食えん下リハビリテーション学会認定士、
またNPO法人口から食べる幸せを守る会理事長でもある、
小山珠美さんはそんな「胃ろう栄養」に疑問を持ったんですね。

 

「胃ろう栄養」が普及する前は、
後遺症で口に麻痺がある方でも、早く身体を起こして、口腔のケアを行い、
口のマッサージをして安全なものから食べさせれば、
早く食べられるようになっていたそうですが、

 

「胃ろうのほうがリスクも少ないし、誤嚥性肺炎になったら大変だから」と、
安易に口から食べることを禁止して、
患者さんから食べる楽しみを奪ってしまったのが医療の現場だったんです。

 

おそらく小山珠美さんが看護師になったばかりの頃は、
食べられなくなって、
ただ死んで行く多くの患者さんを見ていることしか出来なかったと思います。

 

看護師としての色々な忙しい業務の中では、
食事の時間とは限られた流れの中の作業にすぎず、仕方がないことだと思んですね。

 

でも、
「これを何とかしたい」
と誰に言われなくても自分なりに工夫を始められ、

 

「本来はリハビリによって、患者さんの持つ可能性を引き出していくことが私たち看護師の使命のはずだ」
という思いと同時に、
同じ考えを持つ医師などとともに、口から食べるためのリハビリを進めていかれたんです。

   

小山珠美さんの「食べる力を回復させるリハビリ」とは、

患者に対してまず行うのは、摂食嚥下機能の総合評価なんです。

 

医師とともに全身状態の確認や口腔ケアを行いながら、
水・食べ物を摂るスクリーニングテストを行い、
経口摂取の可能性を探っていきます。

 

その評価を元に、
ゼリーなどから開始し、徐々に飲み込みやすさの難易度を上げていくんです。

 

スプーンによる舌への刺激、

上半身の角度を適切に随時変更していく、

肘の位置・・・・・、

 

このような介助を患者ごとに適切に見抜き、
患者さんの「食べたい」「美味しい」を取り戻させていったんです。

 

その際、最も大切なことは、
口から食べていない期間をできる限り短くすることなのだそうです。

 

時間が空いてしまうと、
廃用症候群といって、食べる機能だけでなく、心身の機能まで低下してしまい、
ひいてはその患者の回復しようとする力や、
生きる意欲までも失わせてしまうのだそうですよ。

「摂食嚥下リハビリテーション」は、
「食べることによってその方の生きる力を取り戻す作業」だと小山さんはおっしゃいます。

 

食欲を取り戻した患者さんは、
見ている人も気持ちが良いほど、顔の表情が明るく変わって行かれ、
思考力も元に戻り始めたそうで、

 

人間が食べることの脳への刺激、消化過程、とは、
何と大きく「命」を左右するのかが分かりますね。

 

食べる機能の回復により、
その人の寿命・運命が変更されたんです。

 

運命は、努力で変わったんです。

 

そうした努力の結果、
リハビリ専門病院では寝たきりで経口摂取は困難と診断されていた方が、
段階的に摂食嚥下リハビリテーションを行った結果、

 

食べられるようになり、
歩いて退院されるまでになった姿を、
小山さんはたくさん見てこられました。

 

「人間にとって“おいしく食べることがよりよく生きること」
という小山珠美さんは観音様かもしれませんね。

 

我が郷土熊本で起きた「熊本地震」で、

何気なく日常生活を暮らす大事さ、

水の大事さ、

そして「食べられる」大事さ、

を体験させていただきました。

 

今日も食べ物に感謝して、しっかり自分に食べさせて、

他人も食べさせる手段(家族への思いやりや、仕事への努力)を考えて感謝をしたいと思います。