美ビルド・ネットの熊本はてな?

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てんかん患者は車の運転をしても良いの?


日本における「てんかん患者」の人数は、約80万人~約100万人だと言われています。
つまり、人口の1%程度がてんかん患者さんだと考えられているんですね。

 

人口の約1%と言う事は、
約100人に1人程度が、てんかんを発病しているという事ですが、
 

8月16日に東京・池袋で乗用車が暴走し歩行者5人が死傷した事故では、
車を運転していて逮捕された医師は、
てんかんの持病があり、投薬治療を受けていたことがわかり、

この医師が薬を適切に飲まなかったことで意識を失った可能性もあるとみて、
容疑を危険運転致死傷の疑いに切り替え事故との関連を慎重に調べているそうです。

 

亡くなった方にはお悔やみ申し上げます。
また、ケガをされた方には早期の回復を願っております。

 

この事故の医師は意識が一時なくなるので、
事故の時は怖くなかったと思いますが、
ただその時、
知らない人の命をも巻き込んだことを恐ろしいと思いませんか?

 

2014年6月に改正道路交通法が施行され、
てんかん統合失調症など運転免許の取得・更新時に、

運転に支障を及ぼす可能性がある病気の症状の申告が義務付けられ、
病状を虚偽申告した場合は罰則も設けられたんですが、

 

実際、事故を起こした場合の罪は軽いように感じるんですよね。

たとえば、

 

1999年10月26日 

        兵庫県三木市で、てんかん患者の女性が自動車を運転中にてんかん発作を起こし、
        小学校から下校中の児童3人の列にクルマが突っこんだ。
        この事故で1人が全身打撲で死亡、2人が重傷を負った。

        神戸地裁は、心神喪失状態だったという女性側の主張を受け入れ、
        無罪を言い渡している。

 

2001年10月10日 

        山形市城南町1丁目付近の県道で、49歳医師が運転する乗用車が原付バイクに追突、
        バイクを運転していた女性を25m引きずり、そのまま逃走した。
        女性は収容先の病院で死亡。

        加害者はてんかんの持病を持ち、発作を抑える薬を服用していたが、
        事故直前に軽いめまいといった発作の前兆を感じていた。
        山形地方裁判所は「事故発生当時、被告は発作によって心神喪失状態であった」
        として漫然運転やひき逃げの責任を問わない一方、

        「被告は発作の前兆を自覚することはできた。薬を服用している点からもこれは確認できる。
        運転を自粛する注意義務は果たせた」として業務上過失致死罪を適用し、
        被告に禁固1年6月(執行猶予3年)の判決を言い渡した。

 

2002年9月27日 

        滋賀県栗東市で、てんかん患者の男性が乗用車を運転中にてんかん発作を起こし、
        対向車線側に逸脱、軽トラックと正面衝突し軽トラックを運転していた男性が
        全身を強く打って死亡した。
        大津地裁は、運転中止義務違反の過失がないと指摘し、被告に無罪を言い渡している。

 

2004年3月7日  

        長野県長野市川合新田付近の国道18号で、
        てんかん患者の男性が自動車を運転中にてんかん発作を起こし、
        信号待ちのために停車していた乗用車5台に追突、
        クルマ数台が関係する多重衝突事故に発展した。

        この事故で1人が全身を強く打って死亡。 6人が重軽傷を負った。
        長野地方裁判所は、事故を起こした被告に対して懲役4年の実刑判決を言い渡している。

 

2008年3月9日  

        神奈川県横浜市鶴見区下末吉3丁目付近の県道で、
        てんかん患者の男性がトラックを運転中にてんかん発作を起こし対向車線に逸脱、
        そのまま道路右側の歩道に乗り上げ、信号待ちをしていた歩行者2人を次々にはねた。

        このうち14歳の男子中学生が死亡、27歳の男性も重傷を負った。
        横浜地裁は、事故を起こした被告に対して禁固2年8か月の実刑を言い渡している。

 

2010年12月30日 

        三重県四日市市羽津町の近鉄名古屋線踏切で、
        てんかん患者の歯科医師の男性が乗用車を運転中に意識を失い自転車3台に追突、
        踏切内に押し出された男性3人のうち2人が踏切に入ってきた
        急行列車にはねられて死亡した。

        津地裁は「発作が起こる持病のため、被告には運転を差し控える義務があったが、
        これを怠り運転した過失がある」として、禁錮2年10月の実刑判決を言い渡した。

 

2011年4月18日 

       栃木県鹿沼市内の国道293号で、
       てんかん患者の26歳の男性が自走式クレーン車を運転中にてんかん発作を起こし、
       速度を保ったまま斜行するようにして対向車線側へ逸脱、
       そのまま道路右側の歩道に乗り上げて集団登校を行っていた小学生15人程度の列に突っ込んだ。

       9歳から11歳の児童6人が全身強打で死亡した。
       男性は、以前にも同様の逸脱・衝突事故を起こして小学生に重傷を負わせており、
       有罪判決を受けて執行猶予中だった(過去10年に12回の事故。てんかん隠し免許取得)
       宇都宮地裁は、被告が服薬を怠り、事故当日に発作の予兆を感じていたと認定し、
       懲役7年の実刑判決を言い渡した。

 

2011年4月21日 

       島根県松江市米子町の国道で、てんかんの持病を申告せず運転免許を更新し、
       意識障害を起こした女性会社員が、軽自動車で歩道に乗り上げ2人を死傷させた

       女性は2007年3月に免許を取得し、持病を認識していたが、
       2010年2月に免許を更新した際に必要な申告をしていなかった。
       また、事故の数日前から薬の服用を怠っていた。
       松江地裁は持病に関して「無自覚で安易な姿勢」として禁錮2年の有罪判決を言い渡した。

 

2011年5月10日 

       広島県福山市で38歳男性の運転する軽乗用車が

       小学生の列に突っ込み4人に重軽傷を負わせた。
       運転者の男性はてんかんの治療中だったが、免許更新時に申告していなかった。

       広島地方裁判所福山支部は、「てんかん発作で事故を起こす可能性を認識しながら運転を継続した」、
       「事故は偶発的ではなく、無自覚で安易な姿勢は厳しい非難に値する」として、
       被告に禁錮1年の実刑判決を言い渡した。

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2011年7月10日

        愛知県岩倉市大地新町の県道で78歳の男性が運転する乗用車が

        追突事故を起こした後70m走行し、
        さらに赤信号待ちの車列に突っ込み計8台が絡む事故が発生した。
        この事故により39歳の母と9歳の子供が死亡、他6人が負傷した。

        運転者は自動車運転過失致死傷容疑で検察庁に送検されたが、
        捜査過程でてんかんを罹患していることが判明した。
        
        名古屋地方検察庁一宮支部は
        「症状を認識しておらず、事故の予見可能性があったとはいえない」として、
        運転者を不起訴とした。

 

2011年10月19日 

        鹿児島県姶良市内の国道10号で38歳の男性が運転するトラックが暴走、
        73歳男性が死亡、他4人が重軽傷を負った。
        捜査過程で、加害者男性がてんかんの発作を起こし意識喪失していたことが判明、

        鹿児島地方裁判所は「運転中に発作が起きたとしても、
        上手く対処できると安易に考えていた。薬の服用もしておらず、
        その過失は相当に大きく、また悪質である」として、
        禁錮2年4月の実刑判決を言い渡した。

 

2011年12月27日、

        栃木県宇都宮市内で32歳男性の運転する車が衝突事故を起こし、

        5人が重軽傷を負った。
        男性はてんかんの持病をもち、医師に運転を控えるよう指導されていた。
     
        宇都宮地方裁判所は「前兆があったのに、発作が起きないと軽信した身勝手で軽率な判断」として、
        被告に禁錮2年4月、執行猶予5年の判決を言い渡した。

 

2012年4月12日 

       京都市東山区祇園で、30歳男性の運転する軽ワゴン車がタクシーに追突。
       その後車と道路の隙間を縫うようにして走り、歩行者を次々とはね電柱に激突した。
       この結果運転者を含む8名が死亡、11名が重軽傷を負った。

       運転者はてんかんの持病があったが、運転免許更新時に申告せず運転を続けていた。
       京都府警は事故原因をてんかん発作による意識障害として、
       運転者を自動車運転過失致死傷の疑いで容疑者死亡のまま書類送検する方針を明らかにした。
       京都地方検察庁は男性を容疑者死亡により不起訴とした。

 

2014年6月7日 

       26歳男性の運転するワゴン車が札幌市東区において斜行して
       対向車線を走行中の乗用車と正面衝突し、対向車の運転者に重傷を負わせた。
       ワゴン車を運転していた男性は無免許であり、てんかんの発作を起こしていた。
    
       札幌地方裁判所は、男性に対して自動車運転死傷行為処罰法違反
      (無免許危険運転致傷)の罪で懲役1年10月の実刑判決を下した。

       判決では「意識を失う持病を有する状態での運転は危険性が高い。
       また一度も免許を取得しておらず、
       運転についての技能や知識が不足していることも認識しながら
       運転していたことは強く非難される」と指摘された。

 

2015年3月5日 

       大阪府東大阪市本庄中の市道交差点で、
       49歳の男性が運転していたワンボックスカーが乗用車と衝突し、
       その弾みで歩道上の歩行者2人をはねた。はねられた2人は死亡し、
       衝突された乗用車を運転していた男性も意識不明の重体となった。

       大阪府警察は、ワンボックスカーを運転していた男性について、
       「持病であるてんかんの発作の可能性を認識しながら運転していた」などとして、
       自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)容疑に切り替え捜査。
       大阪地方検察庁は同法違反で大阪地方裁判所に起訴した。

 

ちょっと文章が長かったと思いますが、
無罪の人もいるんですよね。

 

こんな一般道を走行する車の中に運転適性のないドライバーが紛れている現状で、
最も正確にスクリーニングできる人は誰でしょうか。

 

答えは、

まず患者本人であり、

次にその家族でしょう。

そして3番目は、
多くの疾患に携わる医療従事者なのではないでしょうか。

 

ですから医療に関わる者は、
疾患の種類を問わず、車の運転に危険性があると認識される患者には、
必ず家族を交えて運転の危険性と社会的責任を説明して運転をさせないよう働きかけ、
その旨を診療録に記載するべきだと私は思いますね。

 

その患者が、運転の危険性を認識していながら、
どうしても運転をやめない場合はどうでしょうか。

 

医師の守秘義務を遵守すべきなのか、
やはり医師自らが公安委員会に告発すべきだと考えますよ。

 

刑法35条には「正当行為は違法性が阻却される」との記載がありますから、
このケースの場合、
医師による通告は正当行為であり、違法性はないと考えられるんです。

 

実際には、患者への説得のみで、
公安委員会への通告はしないという選択もあるでしょうが、

 

刑事訴訟法239条1項には、
「何人も犯罪のおそれがある場合は、告発できる」とありますが、

これは「告発できる」であり「告発しなければならない」ということではありません。

 

ただし、同239条2項では「公務員の場合は告発しなければならない」とあり、
公務員医師の告発義務については、議論の余地があります。

 

また、
この場合の運転行為が239条1項の「犯罪のおそれ」に該当するかどうか、
という論点もあるとは思います。

 

しかし、運転適性のない患者の運転行為を、
個人情報や守秘義務の制約を越えて医師が告発することは、

刑法、刑事訴訟法上何ら問題のない行為であるばかりでなく、
むしろ積極的に励行すべき行為ではないでしょうか。

 

医療者としての倫理から言っても、
事故が起きたときに、その危険性を知りながら告発しなかったというより、
告発したにも関わらず運転を阻止できなくて事故が起きてしまった、
という方が、社会的に望ましいかもしれませんが、

 

いずれにしても事故が起きてからでは遅いようですよ。

 

それから、
車の運転以外にも危険なてんかんの複雑部分発作というのがあるんですね。

 

たとえば、

・風呂場

複雑部分発作の危険なところは,無自覚な動作を継続し、その自覚がないだけでなく、
温痛覚の感覚がなくなってしまうことです。
そのため、入浴が大変危険なんです。

てんかん発作は疲労の後のホットした時に出やすい特徴があります。
また、
「入浴てんかん」や「熱性けいれん」などの言葉で知られるように、
脳は温まると発作を起こしやすくなります。
 
複雑部分発作は持続時間は1-2分程度ですが、
この間、
お風呂に沈んでお湯を飲み続けると溺死するには十分な時間となります。

この短時間の間に起こる悲劇は、
ふだん発作頻度があまり高くない人に逆に起こりやすいので、
いくら注意しても注意しすぎることはないでしょう。

 

・スーパーマーケット
 
スーパーやコンビニが側頭葉てんかんには危険だと書くと、
何のことか不思議に思われるかも知れません。

実は買い物の途中で発作が起きると、
品物を持ったままレジを通らずに外に出て行くことがあるのです。
 
病気のことを知らない人には、これは万引き行為に見られても仕方がありません。
呼び止められて、発作から覚めて、
「イヤ気がつきませんでした」と言い訳して、事態を理解してもらうのは至難の業です.
 
社会的地位のある方がこのようなトラブルに巻き込まれ、
時には裁判沙汰になったりすることもあります。
 
発作が完全にコントロールされていない時は、
買い物は家族の方と一緒に行かれるのが安全かも知れません。

 

・駅のホームや階段

このような場所も危険に満ちています。
駅のホームに立つ時は、なるべく線路側から離れて立つような心がけが大切です。
また、駅の階段,自宅の階段などで発作を起こすと転落事故につながります。
 
気を張っている時は比較的発作は起きにくいのですが、
睡眠不足の時や、一仕事終えてホットした時などは、
思わぬ場所で発作を起こすことがあるので、十分な警戒が必要となります。

 

仮にあなたがてんかん患者で、
運転しても薬を飲み忘れたり、通院を医師の指示に従わなかったら
保険金は支払われないケースもあり、

 

また家族を不幸に巻き込む危険もあるので、そのへんも注意してくださいね。
人殺しの親とか、人殺しの妹とか・・・。
ほんと、可哀想ですからね
身内のトラブルで人生破滅させられたら生きていかれないと思いますよ。

 

自分で100%ではなく、
客観的な利害関係のない専門家の意見に従うのが今は一番いいと思います。

 

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