高齢者の自立支援を応援する特養が熊本にある!
人は誰でも老います。
そしてどんなに裕福でも貧乏でも誰もが平等に裸で死んでいきますが、
老いて紙おむつを使わないなど高齢者の自立支援に重点を置く介護で
全国に紹介された特別養護老人ホーム(特養)が、
みかんの産地でもある熊本市西区河内町にあるんです。
10年前に開設された「みかんの丘」
仕掛け人で施設長の女性(42)は、
「[ついのすみか]とみられてきた特養を、
お年寄りが元気になれる場所に変えたい」
と使命感に燃えています。
「みかんの丘」は有明海を望むミカン山の中腹に建つ、
定員50人で、
10人を1単位とする「ユニットケア」を採用しています。
食堂兼リビングを入所者の個室10室が取り囲む形で、
一つのユニットを職員5人前後が担当しています。
この施設長は初めて直面する介護の現場で、
「患者が治療で良くなる姿を見てきたが、
ここでは車いすのお年寄りが寝たきりへと衰えていく。
どこにやりがいを見いだせばいいのか・・・」
と悩んだそうです。
そのころ上司に紹介されたのが、
国際医療福祉大大学院の教授が提唱する介護法。
「水分補給と食事、運動で自然な排便を促し、紙おむつを使わない」
という画期的な内容に衝撃を受けたのです。
「ぜひ、うちでもやりましょう」
と早速この介護法を学ぶ全国老人福祉施設協議会主催の講座を受講し、
施設全体で取り組むことにしたのが3年前だったのです。
水分補給の目安は1日1・5㍑。
入所者全員分の管理ノートを作り、
職員が給水の時間や1日の総量を記録するようにしました。
運動は車いすの場合は、
5秒間のつかまり立ちからスタートし、
廊下での歩行訓練へと進めました。
これまでにない試みに職員は戸惑ったし、
日常の仕事量が増える上、
「お年寄りに訓練させるのはかわいそう」
と受け止める職員も多く、
1年ほどで約半数が辞めて行ったのです。
「効果があるのか、
私も含め職員全員が半信半疑の辛い時期だった」
と振り返りますが、
半年ほど立つと、
入所者に変化が見え始めたのです。
常にうたた寝していた人が声掛けに応答するようになり、
1年もたつと立ち上がって歩く人が増えたんです。
排便のリズムを取り戻し、
トイレに歩いて行けるようになると
紙おむつが布の下着に変わったのです。
夜はぐっすり眠り、
徘徊もなくなり、
職員の労力も徐々に減少して行ったのです。
以前はほとんどなかった、
在宅ケアに移行するケースも出たんです。
「家族に迎えられて朗らかに退所する姿に手応えを感じた」
と顔をほころばせる(ホントうれしいですよね)
施設内には運動器具や手作りの遊具で体を動かすスペース、
温泉などがあり、
地域に開放されています。
自治会役員の勉強会や月2回の高齢者サロンでは、
水分補給の大切さなどを元気な高齢者にも伝授してるんです。
講演などで取り組みを紹介する機会が増えましたが、
要介護度が改善しても、
現在の介護保険制度では施設に入る報酬は減額されるんですね。
「元気なお年寄りが増えれば、医療費抑制にもつながる。
要介護の改善を評価する新しい仕組みが必要だ」
と現場での実践と成果を踏まえ、
提言を続けられますから、
私たちも暖かく見守り、応援していきましょう!