六代目山口組と神戸山口組やられたらやり返すな!
今年に入ってから北海道から福岡県まで全国で10以上の都道府県の暴力団事務所や関係先に、
銃弾が飛んだり、車が突入したり、火炎瓶が投げ込まれるなどして、
やっと3月7日に六代目山口組と神戸山口組が抗争状態にあると認定して、
「対立抗争集中取締本部」を設置したみたいですね。
この抗争状態には、
六代目山口組と神戸山口組それぞれの事情はあるんでしょうね。
神戸山口組は分裂で六代目山口組のメンツを潰して一太刀浴びせていますが、
六代目山口組は大義名分としては有利ですがそのターンができていませんね。
というのは、
もともと組織を割って出た側は潰されるというのが、
ヤクザ社会の常識なんですね。
一和会に代表されるように、
組を割ったものに対して本家組織は大義を押し通し徹底した攻撃を加えます。
また割って出れば破門・絶縁処分とされ、
他の組織も処分された組とは関わりを持たないのが不文律なんです。
そうやって孤立させ、
反旗を翻した組織を追い詰められなければ、
それはヤクザにとっては「恥」となってしまうんです。
そういう意味で、
六代目山口組のターンができていないんです。
でも暴対法や暴排条例の締め付けがある今日では、
この不文律はまったくの絵空事になってしまったんですね。
だから九州の道仁会から割って出た浪川会(旧九州誠道会)や
松葉会から割れた松葉会関根組などはその後も組織を継続させているんですよ。
分裂以降、六代目山口組と神戸山口組は、
ことあるごとに「抗争はない」と世間にアピールしていましたね。
事件を起こせば実行犯は無期懲役で、
組織犯罪処罰法でトップが逮捕されるかもしれない。
そうなれば喜ぶのは警察だけで組織は共倒れになってしまう。
だから喧嘩はしないというロジックなんですが、
これが大嘘だったのは、
現在起きている抗争状態を見ればわかりますが、
少なくとも割って出た側の神戸山口組は、
山口組六代目の顔に泥を塗った自覚はあると思うし、
喧嘩という最終手段を覚悟はしていると思うんですよ。
もし六代目山口組が動かないならばごね得ですし、
暴力的衝突がなければ、
神戸山口組は犠牲を払うことなくもうひとつの山口組として存在できますよね。
神戸山口組側が「抗争をやらない」と主張するのは、
それが自分たちの利益に直結するためなんです。
対して、
六代目山口組は抗争を回避すれば大きなダメージを受けるんですよ。
離脱派になんら制裁を加えられなかったという事実は反抗に屈した証拠として定着し、
六代目山口組の求心力を下げますからね。
今は小康な抗争状態ですが、
分裂から一年後つまり今年の8月下旬以降は大規模抗争に注意が必要と感じます。
というのは、
暴排条例はヤクザと付き合う共生者を取り締まるもので、
抗争とは無関係ですし、
マスコミが大袈裟にいう使用者責任の問題も、
民事上の概念で、
抗争で殺された組員の遺族が相手組織のトップに損害賠償は求めないでしょうね。
そして、
まずターゲットを設定し末端まで人相風体を周知させ、
立ち回り先を調べ上げねばならないから、
行動パターンを掴むには、
それなりの時間をかけた追跡調査が欠かせないんですね。
入念な準備が必要なのは、
暴力を連続使用できないからなんです。
現在のヤクザの抗争では、
ひとり殺せばほぼ無期懲役になりますし、
昔みたいに出頭して前科を勲章に変換することはできないんです。
だから、
実行犯は出頭しない前提で迷宮入りを狙ってくるんですね。
それにいまはガードが堅いし、そもそも街にヤクザは出かけないですよね。
防弾チョッキ、防弾車も普及しているし、
思い付きで動いたところでは殺せないんです。
激情に駆られて走っても、
ハンパな事件を起こすのが関の山で無駄な懲役になってしまうんです。
粗暴さだけでは乗り切れないほど複雑になっているみたいですよ。
でも、最近はハイテクな装備を利用しているみたいで、
それは改造ココセコムなんです。
警備会社のGPS端末を長時間稼働するようチューンアップし、
ロックを解除し、
ターゲットのクルマの床下部分にマグネットに貼りつけるんです。
その後、
パソコンを使って相手のクルマの行跡を追い、
何日か観測を続けてパターンを把握し、
目撃者のいない場所を割り出して襲撃ポイントを決定するんですね。
だから、
運転手やボディガードが入念に床下をチェックする光景が一般化し、
パーキングにクルマを停めた際もGPS発信機を付けられないよう、
必ず組員がクルマで待機するようになったんですよ。
またバイクの免許を取る組員が増加しているようで、
これは監視カメラやNシステムというハイテク対策なんですね。
いまや偵察や襲撃にオートバイは欠かせないアイテムなんです。
なにしろヘルメットの装着が義務ですから、
顔面を隠したまま街中を走っても誰も不自然さを感じないですよね。
それから、
抗争状態の時マスコミは一般人に巻き添えにならないようにと、
よく言っていますよね。
確かに以前は街中で平然と銃器を使用し、
繁華街や新幹線ホームなどで銃撃戦が勃発しましたが、
もし一般人を殺傷すれば、
暴力団排除運動があちこちで起きるし、
警察の取り締まりも一気にきつくなりますから、
ホテルや空港、駅といった人の多い場所は、
おそらく襲撃場所の選定から外されるでしょうね。
それを強行したとき、
世論は暴力団壊滅に向かって突き進みますからね。
あなたも注意しなければならないのは、
事務所や自宅、アジトや愛人宅の他、病院の駐車場も危ないですよ。
ヤクザも高齢化が進んで、
幹部の人たちには定期的に病院に通う人間が多いので、
ヒットマンは確実に通院日を狙ってきます。
「やられたらやり返せ」はヤクザのセオリーですが、
ヤクザは確実に「やられたらやり返さない」では終わらないでしょう。
だから、
世論が沸騰しないギリギリを狙って襲撃を実行すると思いますよ。
ところで、
六代目山口組と神戸山口組の望む落としどころはあるんでしょうか?
ある警察関係者は、
「神戸側のシナリオは弘道会とそのシンパを追放し、
山口組の現体制を崩壊させ、時期を見て元の鞘に収まること。
彼らは山口組を内部崩壊させることを目的としており、
山口組を潰せるとは思っていない。
いまは名古屋が本流でも、自分たちこそ山口組という意識がある。
復帰が無理なら山口組を弱体化させ、
本体ごと吸収してしまえばいいと思っているはず」と。
確かに神戸山口組は「抗争はしない」と明言しながら、
籠城するそぶりはまったく見せず、
活発に動き回っていますね。
対立が長期化すれば、
神戸山口組の存在感は増大して合流の可能性は高まるかも。
現在トップに君臨する組長たちが老齢化し、
世代交代すればなお元の鞘に収まるチャンスが生まれますよね。
本来、
同じ山口組の飯を食った同士でいがみ合っている場合ではない・・・と。
その意識はどちらにもあると思いますよ。
若い世代の組員たちは、
親分同士が反目するからそれに従っているだけで、
直接対立しているわけではありませんから、
相手の組員に憎しみなどまったくないと思うんですよ。
六代目山口組にもメンツがあるかもしれませんが、
仮に神戸山口組に勝ったとしても、
世論と警察には絶対勝てないと思います。
今の現状を田岡一雄さんが泣いているかも。