美ビルド・ネットの熊本はてな?

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「おもてなし制服」で「おもてなし文化」の至れり尽くせりができるの?

おもてなし制服」をネットで検索してみると、
東京五輪に向けて外国人観光客を案内するために生まれたボランティアチームが着る
おもてなし制服」に、

 

「ダサい」「韓国の国旗がようだ」
「案内のソフトバンクのロボットなどに着せるのならば良いのでは」
などと酷評されていますね。

 

デザインした藤江珠希さんなんかイヤな思いをしているでしょうね。

 

文句や批判ばかり言う人間は、
この制服の、外国人観光客向け条件である、
・人ごみでも目立つこと
・日本のイメージ
・「おもてなし」のイメージ

 

それを着るボランティアの人々にとって重要なことは、
・着心地が良くて活動的
・夏の強い日差しや気温、突然の小雨などに対応
・年齢や体型を問わず、誰にでもそれなりに着こなせる

 

これらをすべてクリアする制服を自分で考えて作ってみたらどうだと言いたい!

 

あなたも制服と聞いていろいろなことを想像すると思います。
学校の制服、工場で働く人、お医者さん・看護士さん、パイロット・CA、警察官、軍隊等々
さまざまなものがありますね。

また漫画やアニメから日本の文化となった
「コスプレ」とかを想像する方がいるかもしれませんが、

 

海外と比べると、
日本ほど制服が蔓延しているような国はあまりないそうなんですよ。

 

それはなぜかと言うと、
日本人は従来保守的な思考が強い民族で、
歴史的に世界では稀に見る「単一民族国家」でありながら「島国」であり、
長い期間「独立性」を維持し続けていますが、

 

唯一第二次世界大戦で敗北し、しばらくの間米国に駐留されていた以外は、
日本は独立国家の地位を維持し続けてたことはあなたもご存知ですよね。

 

長い「独立性」のある歴史を維持するためにはもちろん外的要因も必要ですが、
内部に確固とした「組織性」と「保守性」がなければ成り立ちません。

 

逆に「出る杭は打たれる」のような目立つものの存在、
すなわち組織を乱す行動は「悪徳」として考えられてきたのですね。

 

つまり、
自分はみんなと同じようにしていることが大事だと教わってきたんです。
あなたも心当たりありませんか?

 

この組織性・保守性の象徴が制服なんですね。
これを着ていれば、
少なくとも外観は他の人から逸脱はしませんし、
また仲間意識を芽生えさせる上で非常に有意義なんです。

 

着ていない人からみれば、
「あ、あの制服だ!」ということで、
それを着ている人間をあるひとつの分類することが可能になり、

 

また分類された人は、
それを外から聞くことにより、次第に自分自身が洗脳されていくんですよ。

洗脳されることにより仲間意識が芽生え、
外部との人間との間に今度は自分たちで壁をつくるんですね。

 

アメリカの場合だったら、
「個=個性」を大切にする国ですから、
このように制服で人を分類することは嫌がりますね。

あくまでも「個性の追求」がこの国での自由主義であり、
一般的に制服は似合わない国なのですよね。

 

しかし、
軍隊、警察のような共通認識や仲間意識が必要な職場ではそういうものがありますが、
日本のように巷に制服があふれているようなものとは全然違いますね。

 

ここで重要なポイントは、
おもてなし文化」の考え方にあると思うんですね。

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 一般に海外では、
客をもてなすときには盛大にこれでもかと言わんばかりにアピールしますが、

 

ところが、
日本ではそうではなく、
どちらかといえば、もてなすということを前面には出さずに、
実はもてなすのが日本流ではないかと思われるんです。

 

ですから、
日本のおもてなしの極意を端的にいえば、
控えめと心のこもった気配り」にあるといえるのではないでしょうか。
これは、あくまで伝統に則ればということですが。

 

しかし、
日本がオリンピック招致でアピールした「おもてなし」の意味は、
日本の伝統文化に根ざしたものだったはずなんですね。

 

なぜならば、
独自の「おもてなし文化」でなければアピールする意味がないからで、
時代は変われども、
失われていない独自の文化だからこそアピールできたはずですよね。

 

JAL(日本航空株式会社)の場合を例にとれば、
機内サービスだけではなく、
すべてのお客様に「最高のもてなし」をする
航空会社でなくてはいけないと訓練所で教えられ、

 

訓練所では保安要員としての緊急訓練、食事や飲み物のサービスの訓練のほかに、
着物の着付け、そして茶道の勉強もするんですね。

 

どうして茶道まで勉強するのかは、
そこに日本人としての「もてなし」の心を身につけた
客室乗務員を育てたいということなのでしょう。

 

茶道の精神を通して気づきをもち、
身につけることのできる相手の立場に立った丁寧な応対。

 

お客様と接するには単なる「サービス」をするのではなく、
お客様との一期一会を大切にすることこそが
日本航空の客室乗務員に必要なことであると訓練されるんです。

 

「もてなす」 という言葉は辞書では下記のように書いてあります。
1 客を取り扱うこと。待遇。「手厚い―を受ける」
2 食事や茶菓のごちそう。饗応。「茶菓の―を受ける」
3 身に備わったものごし。身のこなし。
4 とりはからい。処置。取り扱い。

 

具体的におもてなしを受ける、あるいはおもてなしをするというと
ホテルや旅館、料亭、レストランなどの応対、パーティーでの応対、接待での応対、
あるいは友人宅へ招かれた時でしょうか。

 

飛行機に乗ったときの応対などはおもてなしというよりは
「サービス」というイメージかもしれませんが、

 

それから、
「もてなし」と「サービス」とは少し意味が違うんですね。

似ていますが、
辞書によるとサービスの語源はラテン語の servitus。

 

そもそもservitusには「奴隷」というニュアンスが含まれ、
提供する側とされる側に主従関係が発生します。
お客様が上、
スタッフ側が下と上下関係がはっきりするものと言われています。

お客様がある一定の対応を受ける(=目的)のに主従関係を発生させるために、
サービスチャージやチップが存在すると考えることができますね。

 

それに対して「もてなす」は英語のホスピタリティーマインドに近く、
語源はラテン語のhospesでホスピタリティは病院(Hospital)と語源を共にし
自分の家に訪ねてくる人(=お客様)をお迎え・お世話することなので、

当然対価や見返りを求めない自然発生的な対応と認識することができます。
巡礼する異邦人を歓待することを意味したそうです。

 

家族と接するように、見返りを求めない対応と言われています。
自分も相手も楽しむことであり、
茶道からくる「もてなす」という意味に近いと思われるんですね。

 

いずれにしても、
日本人にとってのおもてなしは特別に茶道などを勉強して学ぶというより、
日常の家庭生活の中でなんとなく、
自然なかたちで親や年長者の振る舞いなどに
触れることによって培われた感覚なのだと思いますよ。

 

オリンピック招致のプレゼンで話題にあがったように、
日本人はもてなしの感覚を自然に理解し対応することが
できる人が多いように思いますし、

 

「もてなす」という茶道の精神から受け継がれている
世界に誇れる素晴らし「おもてなし文化」をもっているのですから。

 

オリンピック招致のプレゼンの時の「お・も・て・な・し」を再び思い出して、
おもてなし制服」に文句を言う前に、

 

自分自身の「おもてなし」の心を磨いたほうがよっぽど良いと思いますが、
あなたはいかがですか?

 

 

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